#1 第一話「国家プロジェクト」
日本人の平均身長を知っているだろうか。
文部科学省発表の最新データは2020年17歳男子で170.6cm、17歳女子で157.9cmである。一昔前に比べると食生活の欧米化や国としての豊かさも相まって体格は良くなった。しかしながら現代でも外国人との平均身長差はまだまだ開いていると言わざるを得ない。
政府はこれからの日本のあり方について健全な心と身体の国民を育てることこそが、未来の日本国の豊かさに繋がっていくと考えた。健全な心は自信を持つことであり、自信を持つためには強固な身体の育成が必須だという結論に至ったのだ。
しかしながら、低身長の底上げは難しい。そんな最中、日本が独自で発見した成長ホルモンの一種、「JGH」。
身体全体に満遍なく働きかけて巨人症のような奇形にならないホルモンを見つけた。そんなことも相まって、元々遺伝的に高身長になりやすいであろう子供達を募集し、国で管理する事になったのだ。
政府公認の秘密裏の政策によって、超高身長の日本の後継者を生み出すことで、国民からの支持を回復し、世界と互角に張り合える力をつけようとしていた。
そこで設立されたのが「公立超長身高等学校」。
公立超長身高等学校は2017年政府のプロジェクトとして始動した。
男子のみの高等学校である。設立の場所だが、田舎で若者に対する誘惑が少ない場所が適切と考えられ、元々の設備も使用できるということも相まって廃校となった高校の跡地が利用されることになった。
全寮制で3年間は外出禁止。食事制限、睡眠制限と、とにかく体格を大きくすることに特化している。
入学にも条件があり中学でスポーツで何かしらの功績があること。
入試会場での身体測定で身長200cm以上体重100kg以上が条件であった。
条件はかなり厳しいが3年間の生活費は国が保証することや保護者には年間500万の協力金が支払われ、スポーツ界隈は色めきだった。
2017年から7年経った2024年現在、公立超長身高等学校の生徒は40名。16歳から18歳までだ。それぞれが必ず部活に入る決まりになっているが、生徒数も少なく
野球部、ラグビー部、サッカー部、卓球部しかない。
40名が誰かの部活に必ず所属している。年齢的には通常の高校生と変わらないが、体格が常軌を逸しているので、他の高校との練習試合はしない。
それゆえに超長身高等学校の存在自体を知らない国民も多い。
島根県のある田舎の市にある公立江南(こうなん)高等学校。そこが2022年に生徒不足が続き廃校になった。
最後の卒業生となる予定だった山本一希(やまもとかずき)は2年の冬に転校して江南高校から離れてしまったため、廃校になったことを2024年現在大学3年生の今までずっと知らないでいる。
県内の転校だったので、両親は今も島根県に住み続けており、元気に暮らしている。3年間帰ってなかった島根県。
久しぶりに江南高校も覗いてみたい。そう思い立った一希は2022年夏、飛行機で島根に帰省することに決めたのだった。
#2 第二話「いざ島根に帰省」
午前8時半携帯のアラームが鳴り響く。
携帯のアラームってほんとイライラする音だよな。と思いながら、山本一希(やまもとかずき)は寝ぼけ眼で画面をタップする。
夏の暑さも相まって気だるい朝だ。しかしながらそんなイライラは今日はすぐに吹っ飛んだ。3年ぶりの帰省。と、いうか大学に入ってからは初めての帰省である。
両親は元気だろうか。(定期的にLINEのやり取りをしているから変わらないのは知っているが。)友達も少ないが連絡をすれば喜んで飲みに誘ってくるだろう。
羽田から飛行機が飛ぶのは12時。それまで時間があると思い、うぅーんと体を伸ばす。一希はお世辞にも体格が良い方とは言えない。
165cm60kg。世間で言えば低身長の部類に入るだろうか。見た目には自分なりに気を遣っているので、モテないというほどでもない。
ただ、世間一般的にいうモテは必要がないと思う。一希は同性愛者、いわゆるゲイというやつなのだ。
この時代、ゲイだろうがバイだろうが関係なく多様性の時代だなんて心には言い聞かせているつもりだか、生まれてこの方、誰にもその秘密を明かしたことはない。その箱を開ける必要もないのだと思い続けてきた。
二度寝するのも良い。1時間くらいは寝られるだろうか。しかし、帰省への高揚感で眠れない。実家に帰るとしばらくオナニーは出来ないだろう。とりあえず一発抜いておきたい。一希はスマホを手に取って流れる水の如く、Twitterのアカウントを開く。
「めちゃめちゃでかい人いた!2メートルはあった気がする!」
「3メートル越えとか実際にいたらいいのに。」
「hey! Tiny men I’m god giant!!!」
などのツイートがスワイプされる。
一希のアカウントページは巨大な男たちで埋め尽くされていた。
「野球部の体格差コラやば。。。えっろ。」
思わず口から言葉が出てきて無意識に手が下方に伸びる。
一希は控えめな自分のアレを握ってしごいた。
1分もたたないうちに一希の遺伝子がぶちまけられた。乱暴な手でティッシュを取って雑に拭き取ってゴミ箱に捨てる。
「ふぅ、、、っしゃ、準備していきますか!」
羽田空港は東京と世界を結ぶ巨大な空港である。
さまざまな人が行き交い、それぞれの場所に飛んでいくのだ。それがなんとも堪らなく好きで一希は心が踊った。
スマホのチケットを見ようと一希は空港のベンチに座る。
隣の男性がスマホに向かって怒鳴っていた。
「ひとりでに門が開くわけねーだろ。ちゃんとメンテナンスしてもらわないと。もしアイツらが世に知れたらかなりマズいっしょ!よろしく頼むわぁマジで。」
そういうと今度は違う相手に電話をかけなおしたようで
「あ、どもです。門の調子悪いみたいですわ。業者もすぐには対応できないみたいなんで、絶対に外に出さないようにお願いしますわ。外からも絶対に入れないように、、はい。いえ,こちらはすぐに帰ります」
というと男性は立ち上がって足早に出発ゲートに向かっていった。
一希もなんとなく訝しげに思いながらも、出発ゲートに向かった。
羽田から2時間弱で島根の空港に着いた。
島根の夏は暑い。今日も厳しい暑さだ。
空港にある温度計は33.0℃を示している。
2時間のフライトを経て一希は故郷島根に降り立った。迎えにきていた家族に会い、車で実家に向かう
久しぶりに面と向かって会う両親は一希の顔をみてとても嬉しそうだ。実家に戻って早々に2人は刺身を買うためにスーパーに行くと言い出し、家で適当に過ごしているよう一希に伝えて会話もそこそこに行ってしまった。
#3 第三話「でかすぎる校舎」
両親が出かけて、一希は一人実家に取り残されてしまった。特にやることもないので、ソファで横になると、うとうとして少し眠ってしまった。
少しばかりの夢を見た。夢の中では高校の頃の自分がそこにいて、同級生と部活をしたり他愛のない会話をしながら校舎内を歩き回ったりしていた。
30分ほど経っただろうか、ふと目を覚まして、窓から外を見ると、まだ車庫に車はなく両親はかえってないらしい。いよいよ暇である。一希は母親にLINEを送った。
「ねーまだかかる?」
すぐに「既読」の文字。
『ちょっとスーパー混んでるのよ。ガソリンも入れて帰りたいからもう少しかかりそうm(__)m』
「じゃあ少し散歩してきていい?」
『鍵のスペア、玄関前の棚に入ってるから鍵かけて出てね。』
「はいよー」
一希は先ほど夢に出てきた高校に行ってみることにした。
高校は歩いて徒歩10分もかからない場所にある。夏休み期間だから生徒はいないし、教師も有給でいるかわからないが顔だけでもだせば誰かしら知っている人もいるだろうと思っていた。
母親に言われた通りスペアキーで家を施錠すると、数年前まで毎日歩いた道をたどっていく。懐かしいいつもの道だ。夏の暑さはあるが、風もあって顔にかかる風が心地よい。心穏やかな気持ちで歩いていると割とすぐに高校が見えてきた。
いつも通り坂を上りきると校舎が現れるはずだ。
ずんずん上っていくにつれ違和感を覚え始める。
「あれ?こんなに校舎デカかったか?改装した?建て替え?」
初めは勘違いかと思ったが、明らかに校舎がデカい。
確か通っていたころは3階建てだった。しかしながらどう考えても3階建てではなくなっている。どれくらいの高さか正確には分からないが、前に六本木ヒルズに行ったときの見上げ方に似ているなと一希は感じた。
「金持ってんなー。てか、そんなに生徒いんのかー?明らか変だよな」と独り言ちながら坂道を登りきると校門が見えた。
校門も一希が通ってた頃は飛び越えられるくらいだったので、おそらく150センチくらいだったと記憶するが、今、目の前にある校門は10メートルは超えていた。しかも、いかにも最新設備な雰囲気を出しており、なぜか50センチ程度校門が開いているのだが、その横のパトランプが赤く煌々と回っている。
一希は校門の隙間を正面から入ろうとするが肩幅が若干狭く入れそうもないので、門をこじ開けようとするが手すりの部分がなぜかメチャクチャに高い場所にある。手を伸ばしても届かないので、手すりの場所はおそらく2メートル以上だ。
「設計ミスかよw」と少しあざけるように笑って、校門の横の部分を押してはみるが、まったく動かない。重すぎるのだ。
仕方ないので体を横にしてすり抜ける。
そうやって敷地内には入ったが、建物自体がどうにも新しくなっているので、どこが受付かもわからない。窓も全くなく、中の様子も何も見えないし、防音がしっかりされているのか音も何も聞こえない。
なんとなく刑務所みたいだなと一希がは思った。
とりあえず校舎を一周しようと試みるが、歩いても歩いても一周できない。校舎がデカすぎる。それでも歩いていると巨大な自動ドアを見つけた。ドアに行くまでに階段が3段あるのだが、1段が推定1メートルあるので足だけでは上ることが出来ない。
手を階段について跳び箱のようにして3段を上った。さすがの一希も違和感だらけの建物に怪しさを感じ始めた。そして反応しない自動ドア。実はこの校舎のセンサーは2m以上の高さでないと反応しない。
一希はここの校舎ではそれぐらい小さいという事なのだった。必死でジャンプするとようやくドアが開いた。
「絶対に何かおかしい。学校じゃなくなったのか?」
と思い、友達に「あのさ、おれいま江南高校来てるんだけどなんか変なんだよね。テーマパークとかになってんの?」とラインを送ろうとしたが、スマホは圏外になっていた。
仕方がないのでとりあえず進むことにしたが、一希は受付の場所を知らずにスルーしてしまった。というのも受付の位置が地面から3メートルの場所にあり一希は気が付けなかったし、受付には在中員もいたのだが、一希は小さすぎで見えなかった。
ここで気付かれていれば後々起こる大変なことに巻き込まれなくて済んだのかもしれない。
まっすぐ一希が進んでいくと曲がり角に来た。すると上のほうから何か足音のようなものが聞こえてくる。それはだんだん大きくなり、人間の話す声も聞こえきた。が、2階か3階くらいから話をしているようだ。
曲がり角を曲がった瞬間に一希は思わず声を上げた。
「え・・・なんでこんなに上履きでかいの・・・」
曲がった先は生徒の下駄箱になっており、下駄箱の一人分のサイズは100センチ×100センチ×100センチでかかとを踏んだ汚れている上履きのかかとが収まらずに収納されていた。
#4 第四話 「240㎝のデカ野球部」
一希は1メートル立方の下駄箱の中に入っている一番下の段の上履きに目を奪われてしまった。
踏みつぶされたかかとの部分に擦れた文字で「横山」と書いてある。
上履きを見つめながら一希が考える。俺だって高校の頃は同じつま先が青い上履きをはいていた。
でも自分のは26.5㎝の標準サイズだった。
だがしかし、いま目の間にある上履きはなぜ1メートル立方の箱に収まってないのか。意味が分からない。
メチャクチャデカい奴がいるのか?いや、それにしても現実離れしすぎている。1メートル以上の靴なんて聞いたことがない。さっきから違和感のオンパレードなのだ。
やっぱりきっと高校はなにか違うアミューズメントパークか何かになったんだろう。この上履きもオブジェ的な何かのはずだ。ロシアの有名な木靴の巨大オブジェとかあったよな。多分それ的な何かだ。
そう思うとなんとなくそんな気がして少し落ち着いてあたりを見渡すと、下駄箱はやけに高いところまであってどう考えても人間サイズで届かないところまで下駄箱は伸びていた。それもきっと芸術的な何かなのだろうと思った。
上履きの大きさもよく見るとバラバラで「吉田」とか「武田」とかありふれた苗字がやっぱり踵に書いてあり、一希サイズの26.5cmの上履きは一つもなかったが、小さいものだと40㎝程度のものから大きいものだと1メートルを超えているかなと言う感じであった。
分かったこととしては、
もうここはかつての江南高校ではないという事、
おそらくテーマパークか美術館か先鋭的な何かの施設になったという事、
人にはまだあっていないが先ほど2,3階くらいの高さから人の声がしたので上階にこの施設の人かお客かがいるはずだと言う事だった。
そう考えたら全てが納得がいった。あの巨大な校門は校門じゃなかったし、バカでかい階段もアートとかお客を楽しませる仕掛けなのだ。
安心してきた。圏外になっているのは少し不安だったが近所なので最悪すぐに帰ってもいい。
そう思うと緊張も緩みトイレに行きたくなってきた。
「トイレどこかな・・・」
上を見ながら「便所」の札を探す。ただやはり全てがバカみたいにデカい。
だいぶ世界観こだわって作ってるなー心意気に感心していると、トイレのマークを見つけた。
男のマークしかなかった。
ドアは空いていて小便器に駆け込むと、やけに小便器が大きく縦は2.5メートル、横も1.5メートルほどある巨大小便器で、それが5.6個並んでいる。小便器の受け口は一希の胸のあたりにあった。
「いやいやこれじゃションベンできないからw」と思い、他の普通の便器はないのかと探すが、巨大な便器しかない。
洋式便器も自動車くらいにデカいし、お尻を付けたら便器の中で溺れそうな感じがして怖い。
小さい子供が大人用の便座に座った時に、お尻ごと便器に落ちてしまいそうな感じと似ているなと一希は思った。
汚いので嫌だったが、仕方ないので小便器の受け口に手をかけてのぼり、小便器の受け口部分の上に足を置く形で放尿した。
放尿の最中に遠くからだんだんと近づく足音が聞こえてきた。走っているようだ。どんどんと音が近づき、いよいよトイレに入ってきた。
「やっと人に会えそうだな〜」と思いながらまだ目線は放尿を続ける自分のアソコに置いておいた。
そして横に人の気配を感じた。ふと視線を横にずらすと一希の目線の高さは相手の首下だった。
野球部だろうかユニフォームを着ている。驚いて視線を上にずらすと顔は16歳17歳そこそこといった感じで、いかにも体育会っぽいやんちゃな感じである。
相当トイレを我慢していたようで、一希には気が付かずユニフォームのチャックをおろしている。何よりも驚いたのはその野球部は小便器の受け口には乗らずそのまま用を足していたことだ。
ただ、デカ野球部員なのだが、それにして便器がデカすぎるように感じた。それでもこんなにデカい人は見たことがなく、東京にいると2メートルくらいの人はたまに見かける事があるが、今、隣にいる少年はそんな規模じゃない。
少なく見積もっても200センチをゆうに越しているように感じる。世界最長身とでもいえるのではないか。
推定240㎝。野球部らしく筋肉も張り、ユニフォームはしわがない。チャックをおろしたところからはちょうど大根くらいのモノが出ていて勢いよく老廃物を噴射していた。
とにかく、足元が安定ないので、便器から飛び降りると、用を足し終えたデカ野球部が一希に気が付き、同時に固まった。
デカ野球部は「は!?え!?なんで!?どっから入ったの!?」と大声を出した。
地面の高さが同じになると、相手のデカさもより際立った。
一希の目線の先は相手のユニフォームのベルトの少し上だった。
高い所から見下ろされて怖くもあり、でも顔立ち的に高校生くらいかなと思うのだがやっぱり怖くて一希は何も言わず固まっていた。
「いや、やべえから。すぐに出ないとガチやばい。お前みたいなチビは殺されるって!」
と言うと同時にデカ野球部は一希を子供を抱くみたいに簡単に持ち上げ、わきに抱えて全速力で巨大な門の方に走り始めた。
そして受付まで来た途端に一希をおろし、デカ野球部は壁と自分の体の間に一希を挟んだ。目の前には巨大なお尻があり壁に挟まれて苦しい。
「ちょ・・けつ・・!くるし・・・!」と一希が藻掻くと
デカ野球部はすごい形相で「黙れチビ。これ以上騒いだらお前のそのちっさいケツにチンコぶち込むからな」と一希の顔に股間を押し付けながら言った。
#5 第五話「横山拓斗(よこやま たくと)」
一希は巨大野球部の尻と壁に挟まれて窒素しそうだった。
こんなにでかい高校生?(顔立ちは俺と同じくらいの年っぽいが)がいるのか、なぜいきなり脇に抱えられて(しかも軽々と、片手で)全力疾走してるのか何一つ理解不能だった。
ただ今の状況はきっと、一希は危険にさらされていて、このままだとこのデカ野球部に殺されかねない。なんとか逃げないといけない。
そのとき「ピンポンパンポーン」とはるか上の天井から音が鳴った。
「えー、、生徒の皆さんにお願いがあります。えー、校舎内にまあ、小さな虫、というかネズミが走り回っているとの報告が入っております。えー。つきましては、そのようなネズミの一種を見つけたら触ったりせずにすぐに職員室まで報告にくるように。あーくれぐれも触ったりすることのないよう。えーまた興味なんてもたないよう。この放送を聞いて変な気を起こさぬよう注意しなさい。余計なことで大きなことにしたくありませんので。」
「ピンポンパンポーン」
の音とともに放送は終了した。
放送を聞きながら、一希は「ネズミ?なんでそんなので放送?」と思い耳を傾けていたが、同時に巨大野球部も放送に気を取られていたようで一瞬、一希を押し付ける力が緩んだ。
その隙に一希は巨大野球部の股の下をくぐった。人間(多分・・・)の股の下をちょっと屈んだくらいでくぐるれてしまうのは初めてだった。
シンバルが二つ並んだぐらいでっかいケツの上にみながらするりと巨大野球部員の股を抜けると
全速力で玄関を通って、1メートルもある階段を飛び降りた。
「あ!ちょ!!待っ」
と言いかけたとき、「おー!ゆうなにしてんのー?」と周囲から別の声がして、巨大野球部員は一希を追いかけられなかった。
一希は必死に門まで走った。走りながら「放送では『校舎内』って言ってたな。やっぱりここは学校・・・?」
と思いながらもまずはここから出る事を最優先に考えた。初めここに入るときに通った10mある巨大な門はもうすぐ目の前だ。
あと20メートル。あと10メートル。もう少し、もう出られる!
と思ったその時。一希は影に覆われた。恐る恐る上を見るとバカでかい短パンとその中のパンツが見えた。
あまりの大きさに一希は腰が抜けてその場に座り込んでしまう。
そのバカデカい短パンを身にまとった生き物は「ギリギリセーフ。おっしゃ~」と言いながら高さ10メートルある少し空いていた門を片手て閉めて、「ガチャリ」と鍵をかけた。そして仁王立ちで一希を見下ろし
「マジで小さいねwお前、何歳?」と聞いた。
一希はその大きさに圧倒されて尻餅をつくと、ジョロロロ・・・と失禁してしまった。
尿で濡れてシミになった一希の短パンを見ると意地悪くニヤリと笑い
「俺のデカさにおしっこ漏らしちゃったの?赤ちゃんかよ〜www
だけどお前、多分年上でしょ?チビすぎない?」と言い、
「いつまでそうやって座ってんの。動かないなら蹴り飛ばすけど。5、4、3・・・」
カウントダウンが始まった。こんな巨体に蹴られたら死ぬ。本能がそう言っていた。ガクガクの足で何とか立ち上がる。
「よくできまちたね~」といい一希の横にわざと音を立てるようにして仁王立ちのまま「ドスン」と足を下した。
恐る恐るその足を見ると、目線がちょうどいてのふくらはぎの位置だった。
「ちょっと小さすぎない?身長何メートル?」
「ひゃ・・・ひゃく・・・ろぐじゅう・・・」
「えwww1メートル台なの?やばwおれ、12.5メートルなんだけどwおれの膝らへんがちょうど2メートルだから膝より小さいってこと?w」と言いながら、ずいずいと足を一希に近づけてくる。
相手は短パンに便所サンダルを履いているのだが、濃いわけではないが通常男性くらいの毛量のあるすね毛は針金のように太く、刺さりそうだった。
またふくらはぎだけでも、そこら辺の大木よりも太く、一希が手を横に広げても太さは足りないほどに厚みがあった。
「いやマジでちっさいね。あ、自己紹介まだだった。お兄さん?だと思うけど名前は?」
一希は何も言えず黙っている。
「ねー聞いてんじゃん。」と言いながら12メートル巨人は足を後ろに蹴り上げるポーズをとる。
一希が慌てて「やまもとかずき!」と言うが「は?なんて?ちっさすぎて聞こえないわ」と言うと、12メートル巨人はよいしょと胡坐をかいた。
先ほどよりは威圧感はないが、それでも5メートルくらいあるだろうか。顔がはっきり見えてしまい逆に恐ろしさは強調されているように思う。
見ためは芸能人でいう鈴木福のような感じで、可愛さも残っている。しかしながら体はそう考えても人間のそれではなく、足のサイズは1.5メートルほどありそうだし、着ている青と白のまだら模様のユニフォームのような半袖はテントくらいある気がする。
とにかく、こんなでかい人間がいるとは信じ難い。
まずは、この巨大な少年を怒らせないようその場を穏便に済ませたいと一希は思った。
勇気を振り絞って
「やっ・・やまもとかずきっす!」
というと
「こんな小さいのによくいえまちたね〜偉いなあ〜。」
そういうと巨大な鈴木福似の少年は手を伸ばして一希の体全体を掴んだ。
「いっ痛いっす・••!!!」
「なんだよ〜よしよししてあげようとしただけじゃん〜。こんなんで痛いとか、男としてもっと鍛えたほうがいいよ〜w」
巨大鈴木福にとっては軽く力を入れたつもりだったのだろうが、通常サイズの一希にとっては骨が折れてしまいそうな圧迫だった。
「おれはねー横山拓斗(よこやま たくと)だよーよろしく」と言い、続けざまに「かずきともうひとりお近づきになりたいのがいてさ、ここに挨拶して」と言うと、拓斗は巨大な手を人差し指だけ立てて、自分の股間を指さした。
「え・・いやだよ・・・。」正直、拓斗の顔は少しタイプだったが、人間かどうかも分からないこんな巨人は素性が分からないし、懐に入れば何をされるかわからない。何とか声を振り絞って答えた。
「は?なんて?」と言い拓斗は胡坐を崩して立ち上がった。
その瞬間、一希はとりあえず隠れられそうな木の影に走った。拓斗は無表情のまま10メートルの高さから手をおろし、いとも簡単に右手で一希をつまみ上げる。
目線がどんどん高くなり、まるで遊園地のアトラクションに乗っているかのようだ。
一希は怖くて
「ごめんなさい!ごめんなさい!離さないで!死んじゃう!」
と騒いでいると、拓斗は一希をつまんだ指を自分の目の間に持ってきて
「いうこと聞けないチビにはお仕置きだよ〜俺のちんこが支えてあげるから〜www」
そういうと、そのまま左手で短パンとボクサーパンツを引っ張り空洞を作り、一希をつまんでいた親指と人差し指をパッと離すと一希は落ちていく
一希は声にならない声で
「うああああ!!!!」
と叫ぶが落下は止まらずに拓斗の巨大なあそこ目掛けて落ちていき、拓斗はパンツのゴムで「バチン」と一希を挟んだ。
一希はその衝撃で気を失い、拓斗はこれから始まることを想像して、股間を熱くさせながら校舎内に入っていった。